大麻の精神活性作用、最古の利用例か 中央アジアの墓地遺跡
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■人身供犠
研究チームはガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)を用いて、この木製の炉と焼けた石を分析した。法医学的分析で利用されることの多いこの技術が、古代の遺物の調査に用いられるようになったのはごく最近のことだ。GCMSは、化学物質の混合物を分離して、構成要素を分子レベルで同定する。
今回の研究で化学分析を主導した中国科学院大学(University of the Chinese Academy of Sciences)の楊益民(Yimin Yang)教授は、「大麻の指標化合物、とりわけ精神活性作用に関連する化学物質が同定されたことにワクワクしている」と述べた。
木製の容器から検出された大麻の活性化合物カンナビノイドは主にカンナビノール(CBN)だった。大麻の主要な精神活性成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)が空気にさらされると分解され、このカンナビノールに変化する。
この物質に加え、古代の葬儀で重要な楽器だった角型ハープや、強いテレビン油の芳香を放つジュニパー材でできた香炉などの遺物も回収された。このことが示しているのは、人々を変性意識状態に導く幻覚作用のある煙が立ち込める中で儀式が行われていたということだ。
興味深いことに、墓の一つからは、自然死したとみられる個人の遺体とともに、切られた痕が残る遺骨も複数見つかったと楊教授はAFPの取材に語った。これは人身供犠が行われた痕跡だと、発掘チームは解釈しているという。現在、これらの人々の血縁関係について調べるためのDNA鑑定が試みられている。(c)AFP/Issam AHMED