大麻の精神活性作用、最古の利用例か 中央アジアの墓地遺跡
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【6月13日 AFP】中央アジアのパミール高原(Pamir Mountains)で約2500年前に行われていた埋葬儀式では、ハープの音色、そして大麻とジュニパー香をたく匂いが辺りに満ちていた──。これは神、そして死者と心を通い合わせるための入念な儀式の一環だった。
このほど発表された研究論文によると、この儀式は、精神活性作用を求めてマリフアナ(大麻)を使用した、知られている中で最も古い事例を示すものだという。研究チームは、中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で発見された考古学的遺物を、法医学技術を用いて分析した。
論文は、12日の米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に発表された。研究を主導した植物考古学者のロベルト・スペングラー(Robert Spengler)氏は、リンゴからクルミまで、シルクロード(Silk Road)沿いで現代の形態に進化したと考えられる作物の数が増えていることを指摘しながら、今回の研究結果によって大麻もそうした作物の一つに名を連ねることになるとの考えを示した。
独マックス・プランク人類史学研究所(Max Planck Institute for the Science of Human History)のスペングラー氏は、「初期のシルクロードの交易ルートは、1本の長距離道というよりはむしろ荷馬車の車輪のスポークのように機能し、中央アジアを古代世界の中心に据えていた」と話す。
「大麻の喫煙と化学物質の生成量が高い大麻草の特定の品種に関する知識は、これらの交易ルート伝いに広まった文化的伝統の一つだったことを、今回の研究は示唆している」
これは、中国東部で精神活性性がより低い種類の大麻がより早い時期に栽培化されたことと対照をなしている。中国東部では、油分を多く含む種と衣類やロープ類などに適した丈夫な繊維を得るために、6000年以上前から麻の栽培が行われていた。
今回の研究では、タジキスタン国境近くにあるジルザンカル共同墓地(Jirzankal Cemetery)を調査。標高3000メートル以上に位置するこの古代の共同墓地遺跡では2013年から発掘調査が行われていた。
研究チームは、墓8基から木製の火鉢(もしくは炉)を10個発見した。この中には、明らかに焼けた跡がある複数の石が入っていた。