【6月5日 AFP】国連(UN)は4日に発表した報告書で、国連開発計画(UNDP)が推進するジェンダー平等を順調に実現している国は皆無だと明らかにした。

 全ての国連加盟国は2015年に持続可能な開発目標(SDGs)を採択し、教育、気候、ジェンダー平等などの分野で2030年までに目標達成することを目指している。

 しかし最新の報告書によれば、ジェンダー平等を示す評価基準に達している加盟国は一つもない。評価基準は性差別や女性に対する暴力、児童結婚や女性器の切除など有害な慣行をなくすことを掲げている。

 SDGsのジェンダー平等指標の報告書「イコール・メジャーズ2030(Equal Measures 2030)」のディレクター、アリソン・ホルダー(Alison Holder)氏は「われわれはまさに(SDGsの中で)数十億人の少女や女性たちのために約束したジェンダー平等をもたらせずにいる」と述べた。

 ホルダー氏はカナダ・バンクーバーで開催中の女性のための国際会議「ウィメン・デリバー(Women Deliver)2019」で講演し「さらに心配なのは、世界で14億人の女性たちがジェンダー平等指数で『非常に低い』と評価されている国々に暮らしていることだ」と述べた。

 世界129か国のデータを集計した結果、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オランダのような富裕国では進歩が見られる一方、チャド、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、イエメン、ニジェールなどの政情が不安定な貧困国は遅れを取っている。

 しかし、報告書は、ジェンダー平等を完全に実現している国はないと述べている。

 報告書に貢献した子どもの権利擁護NGO「プラン・インターナショナル(Plan International)」の代表者は、調査でジェンダー平等を促進するために投資しようという政治的意思が欠けていることが明らかになったと述べ、権利団体や活動家らが調査のデータを活用して「行動を生み出すために賢い政治キャンペーンを展開する」ことを望んでいると述べた。(c)AFP