【6月25日 AFP】インドネシアのじりじりと照り付ける太陽の下で、ジュニアルティ(Juniarti)さん(15)は、全身をすっぽりと覆う大きな張り子の人形の中から外をのぞきながら、汗まみれになって体を動かしていた。

 大きな頭をした張り子は、大勢の人々が行き交う首都ジャカルタの名物だ。魔よけとして祝いの席に呼ばれることも多い。

 ジュニアルティさんをはじめとする子どもたち──中には9歳の子どもたちもいる──は、派手な民族衣装を身に着けた高さ2メートルに及ぶ張り子の人形「オンデルオンデル(Ondel-Ondel)」の中に入り、ぎこちないダンスのステップを披露したり自撮りに応じたりして通行人から小銭をもらって生計を立てている。

 1日の稼ぎが20ドル(約2100円)になるときもあるが、楽してもうかるわけではない。オンデルオンデルは、重さ30キロにもなる大きな張り子を支えるため両肩に竹製の骨組みを乗せてバランスを取らなければならない。

 高級ショッピングモールの裏で休憩する間にAFPの取材に応じたジュニアルティさんは、「もちろん疲れます」「中はとても暑くて、服は汗でびっしょり」と語った。

 オンデルオンデルを始めて3年になるバスティアン(Bastian)君(11)も、この仕事の大変さが身に染みている。

「オンデルはとても重い。この傷を見て」。そう言ってTシャツをめくり、肩に残った赤い痕や引っかき傷を見せた。

 大人が張り子をかぶるときもあるが、最近は子どもたちがこの仕事を担うことが多くなっている。青少年の人権保護に取り組む活動家らは、子どもたちは搾取や虐待の対象になりやすいと警告している。

 だがジュニアルティさんとバスティアン君は、警備員から追い払われる以外に嫌がらせを受けたことはほとんどないと話す。

 貧困地区の住民にとって、こうした方法でお金を稼ぐことは一般的だ。遊び半分で仕事ができることから、かなり割が良いと考える子どもたちもいる。「友達と遊びながら働ける」。ヨギ・スサント(Yogi Susanto)さん(13)もそう語った。(c)AFP/Dessy SAGITA