【6月5日 AFP】英国を訪問中のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は4日、辞任を表明しているテリーザ・メイ(Theresa May)英首相と会談し、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後に英国と「素晴らしい」貿易協定を結ぶと明言した。抗議デモや政治的混乱の中、ほころびを見せている英米の同盟関係を強化する狙いがある。

 トランプ氏は、ロンドン中心部で数千人が抗議デモを行っている事態を「偽ニュース」だと切り捨て、最大野党・労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首との会談を拒否した。コービン氏はトランプ氏の政策を激しく批判する演説を行いながらも一対一での会談を望んでいた。

 メイ氏は数週間後に首相を退くことになっている。メイ氏はこの3年集中して取り組んできたブレグジットを成し遂げられず、辞任を表明した。ただ11人の次期党首候補から後任が決まるまで、首相の座にとどまる。メイ氏の後継者は誰になろうとも、ブレグジットの現在の期限の10月31日までに厳しい選択を迫られることになる。期限はすでに2度延期されている。

 トランプ氏は訪英に先立ち、EUからの合意なき離脱に突き進むよう英国に助言。ブレグジットを支持するボリス・ジョンソン(Boris Johnson)前外相について、ブレグジットを成し遂げるのに「申し分のない」指導者だとの考えを示していた。

 トランプ氏は次期首相の座を目指すマイケル・ゴーブ(Michael Gove)環境・食料・農村相、ジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外相との会談を計画したとされている。トランプ氏と会談した新党「ブレグジット党(Brexit Party)」を率いるナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏は、米大使公邸でブレグジットを中心にトランプ氏と「よい協議」を行ったと述べた。

 従来の同盟諸国からの、米国の孤立化が際立つ中、トランプ氏はメイ氏と臨んだ共同記者会見で、米英は「特別な関係」にあると強調した。(c)AFP/Dmitry ZAKS and Jerome CARTILLIER