【6月7日 AFP】7日に開幕するサッカー女子W杯フランス大会(FIFA Women's World Cup 2019)は、女子バロンドール(Ballon d'Or)の受賞者アーダ・ヘーゲルベルグ(Ada Hegerberg)がノルウェー代表としての出場を拒否しているため、最大のスター選手を欠く中で行われる。

 しかし、この大会には才能ある選手が勢ぞろいしており、そうした選手たちが輝くための場が用意されている。ここでは、今大会で注目すべき5人の選手をAFPが紹介する。

■ウジェニー・ルソメ(Eugenie Le Sommer)/フランス

 今回のフランス代表メンバーでは最多となる通算74ゴールを挙げ、オリンピック・リヨン(Olympique Lyon)のスター選手として知られるルソメは、女子欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Women's Champions League 2018-19)で自身6度目となる優勝を果たしたばかりで、地元で行われる今回のW杯でチームを初優勝に導く準備を整えている。

 今季のフランス女子1部リーグで21ゴールを挙げた30歳のルソメは、チームの13連覇に貢献し、4年連続となる欧州制覇を成し遂げた。

 W杯ロシア大会(2018 World Cup)で優勝した同国男子チームに続くことを目指すルソメは、通算81ゴールを挙げたマリネット・ピション(Marinette Pichon)氏が持つ代表歴代最多得点記録の更新も狙っている。

■岩渕真奈(Mana Iwabuchi)/日本

 昨年行われたAFC女子アジアカップ(2018 AFC Women's Asian Cup)で優勝を果たし、大会の最優秀選手(MVP)に選ばれた岩渕は、今回のW杯で大きなインパクトを残す体制を整えた。

 26歳の岩渕は、すでにW杯優勝経験を持っている。18歳だった2011年大会決勝の米国戦では、延長戦から途中出場を果たしており、米国に決勝で敗れ準優勝に終わった2012年のロンドン五輪と2015年のW杯にも出場している。

 岩渕の経験は、W杯に出場したことがない19歳の植木理子(Riko Ueki)や遠藤純(Jun Endo)といった若手選手が選ばれたなでしこジャパンに安定感をもたらすだろう。

■ジェニファー・マロジャン(Dzsenifer Marozsan)/ドイツ

 今大会ではリヨンに所属する多くの選手の躍動が期待されているが、ドイツが米国を上回って3度目の優勝を果たす上でマロジャンの活躍は不可欠だろう。

 リヨンのチームメートであるヘーゲルベルグやルソメを抑え、3シーズン連続で仏1部の最優秀選手に選ばれている27歳のマロジャンは、プロデビューから10年以上がたち、全盛期を迎えて今大会に臨むことになった。

 マロジャンは昨夏、肺の血管が詰まる肺塞栓症を患っていたが、FCバルセロナ(FC Barcelona)との女子欧州チャンピオンズリーグ決勝で先制ゴールを奪うなど回復ぶりをアピールしており、チームの4-1の勝利に貢献した。

■マロリー・ピュー(Mallory Pugh)/米国

 W杯を2度制したレジェンド、ミア・ハム(Mia Hamm)氏に「本物」と称されたピューは、女子サッカー界における覇権を握り続けようとする米国の新たなスターの一人だ。

 多くの人の目は、長い選手キャリアで2度目となるW杯制覇を目指しているカーリー・ロイド(Carli Lloyd)に注がれることになるはずだが、21歳のピューは12歳で代表に目を付けられてから、米国の未来を担う存在として注目を集めてきた。

 変幻自在のドリブルと正確なシュートを武器とするピューは、経験あるアタッカーが多数いるチームにおいて、疲れた相手を惑わす切り札として起用されるとみられる。

■マルタ(Marta)/ブラジル

 ブラジルサッカー界のレジェンドであるペレ(Pele)氏本人から「スカートをはいたペレ」と呼ばれた33歳のマルタは、女子サッカー界の最高の選手の一人として広く認識されているが、W杯のタイトルには縁がない。

 昨年、自身6度目となる国際サッカー連盟(FIFA)の年間最優秀選手賞を受賞したマルタは、ブラジル代表としての長いキャリアを立派な形で締めくくることを目指している。

 ブラジルは今大会の優勝候補には挙げられていないが、それでもマルタは自身が持つW杯歴代最多得点記録の更新が期待されている。

 2018年のコパ・アメリカ・フェメニーナ(Copa America Femenina 2018)優勝に貢献したマルタは昨シーズン、米国女子1部リーグのオーランド・プライド(Orlando Pride)で13ゴールを記録し、チームのプレーオフ進出に貢献。しかし今季はゴールを挙げられておらず、チームも開幕6試合で未勝利となっている。(c)AFP/Terry DALEY