【5月30日 AFP】妊娠初期に離婚や失業など強いストレスを感じる経験をした母親から生まれた男性は、精子の数が少なくその運動率も低い傾向にあるという調査結果が、30日に発表された。

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 西オーストラリア大学(University of Western Australia)で生殖医療を専門とするロジャー・ハート(Roger Hart)教授らが執筆した論文によると、妊娠18週までに強いストレスを感じる経験が3回以上あった母親から生まれた男性は、同じ年の他の男性に比べて精子数が3分の1少なく、運動率も12%低いことが明らかになった。

 また、男性ホルモンのテストステロン値も10%ほど低かったという。

 ハート教授の研究チームは、母体が受けるストレスがもたらす影響を調べるため、豪西部で1989~91年に妊娠18週の女性約3000人を対象にアンケート調査を実施。直前の数か月にストレスを感じる経験があったかどうかを尋ねた。

 回答者らから計1454人の男児が生まれ、その後20年にわたり追跡調査を行った。20歳を迎えた643人が精巣の超音波検査を受け、精液と血液のサンプルを提出。これらの分析結果が、今回の論文にまとめられた。

 ハート教授は「胎児の臓器の発達に影響を与えやすい妊娠初期に、母親が強いストレスを感じる経験をすることは、男性の生殖能力に生涯にわたって重大な悪影響を及ぼす可能性がある」と結論付けている。

 論文は、英学術誌「ヒューマン・リプロダクション(Human Reproduction)」に掲載された。(c)AFP/Marlowe HOOD