【5月29日 AFP】6種類の危険なマルウエアに感染した黒いサムスン(Samsung)のノートパソコンで世界最大級の脅威を表現した芸術作品が28日、米ニューヨークでオンラインオークションに出品され、130万ドル(約1億4000万円)を超える価格で落札された。

 中国人アーティスト郭偶東(Guo O Dong)氏による「The Persistence of Chaos(混沌の継続)」という作品は、美術界に衝撃を与えた。

 この作品は、今では旧式となったマイクロソフト(Microsoft)のオペレーションシステムWindows XPを搭載する2008年製造の10インチノートパソコンで、見た目はいたって普通だ。

 しかしそのメモリーチップには、過去に大きな被害をもたらした6つのマルウエア、「I LOVE YOU」(2000)、「Sobig」(2003)、「MyDoom」(2004)、「DarkTequila」(2013)、「BlackEnergy」(2015)、そして悪名高いランサムウエア「WannaCry」(2017)が入っている。

 シンプルなノートパソコンが全世界にとって脅威となり得ることを強烈に表現した作品だ。郭氏によると、これら6つのマルウエアは世界中で少なくとも950億ドル(約10兆円)の損害を与えた。

 電源は入っているがネットワークに接続されていない状態のこのノートパソコンの動画がストリーミング配信された。この状態ならば無害だ。しかし、USBメモリーを差し込むといった操作でマルウエアを解き放つことが可能なため、作品の買い手にはそのようなことをしないよう警告されている。

 オークションサイトは、この作品は研究目的のためだけのものだと強調し、競売の参加者は全員「マルウエアを拡散させる意図は持たない」ことに同意する契約書に署名したと述べた。契約書には「これは生きている危険なマルウエアのサンプルであることに留意してください」と記載されている。

 この作品を落札した人物は特定されていない。(c)AFP