■「米政府は自己中心的で傲慢」

 だが、中国の国営メディアは米国への非難を強めている。新華社は23日の記事で、米政府は「自己中心的で傲慢(ごうまん)」だと述べ、「米国は国際ルールに従わず、協力合意を破棄し、アメリカ・ファースト(米国第一)だ、米国には特権がある、米国は例外だ、と同じことばかりくどくど言っている」とこき下ろした。

 トランプ氏が2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に追加関税を課した今月中旬以来、中国共産党の機関紙、人民日報(People's Daily)は「警鐘」と題したコラムを毎日掲載し、中国の台頭が米国に損害をもたらすというトランプ氏の主張を否定している。

 中国の国営テレビ局は、反米感情をかき立てる1950年代の朝鮮戦争の映画を今月16日から6日間連続で放映。中国の目と鼻の先まで冷戦(Cold War)が迫っていた時期に、中国は朝鮮戦争で北を支援し、南を支援する米国主導の国連(UN)の部隊と戦ったことを視聴者に思い出させた。

 ネット上では、国家公務員だった趙良田(Zhao Liangtian)氏が作詞した歌が拡散した。歌は、貿易戦争で「正気を失った」米国を打ちのめすという内容だったが、中国のソーシャルメディア(SNS)「微信(ウィーチャット、WeChat)」や中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」では、コンテンツのガイドラインに違反しているとして後に削除された。

 中国のインターネット利用者は、トランプ氏がファーウェイを狙い撃ちする脅しをかけて以来、同社の味方をしており、米国の動きは中国のハイテク産業の野心をくじくためのものだと一般的に受け止めている。 

 5月中旬に行われたファーウェイ創業者の任正非(Ren Zhengfei)最高経営責任者(CEO)のインタビューは、ウェイボーでトレンドの上位に入った。しかし、多数のネットユーザーがファーウェイを見捨てないと書き込んではいるものの、米アップル(Apple)のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の不買運動を呼び掛けた人はほとんどいない。