【5月23日 AFP】欧州連合(EU)で23日、欧州議会選挙(定数751)の投票が始まった。投票は英国とオランダを皮切りに26日までEU加盟国28か国で実施され、4億人を超える有権者がEUの針路に意思を示す中、各国のポピュリズム(大衆迎合主義)政党は番狂わせの勝利を狙っている。

 今年3月に予定していたEU離脱(ブレグジット、Brexit)がいまだ実現していない英国では、脱退しようとしている議会の議員を選ぶというおかしな状況の中、右派・英独立党(UKIP)の元党首でEU懐疑派のナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏が今年立ち上げた新党「ブレグジット党(Brexit Party)」が世論調査で手堅いリードをみせている。

 ファラージ氏は21日に開いた最後の選挙集会で、党の台頭を評して「エスタブリッシュメント(既成勢力)はおびえているのではない、恐れおののいている!」と強調した。

 ポピュリストの台頭に対抗するため、欧州各国の指導者らは支持者を総動員しようと躍起だ。EU懐疑派が躍進すればEUの政策決定が妨害されると各国政府は懸念しているが、各地の世論調査によると、より緊密なEU統合に反対する国家主義政党やポピュリスト政党の躍進が予想されている。

 イタリアのポピュリスト指導者、マッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相が率いる「同盟(League)」や、フランスのマリーヌ・ルペン(Marie Le Pen)氏率いる極右政党「国民連合(RN)」は、参加する欧州議会内の反EU会派「国家と自由の欧州(ENF)」が第3の会派となることを狙っている。

 ルペン氏は「以前は欧州においてわれわれは味方を持たず孤立していた。しかし、数か月であらゆる政治勢力が素晴らしい形で結集し立ち上がった」と評した。

 ただ一方、スペインやアイルランド、旧ソ連諸国では有権者はEUに対する堅固な支持をみせており、EU全体で懐疑派が圧勝する見通しは薄く、EUの世論調査ユーロバロメーター(Eurobarometer)の最新調査によると回答者の61%が自国のEU加盟を好意的に評価しており、1990年初頭以来の高い結果となっている。(c)AFP/Robin MILLARD