【5月21日 AFP】汚職疑惑をめぐり副首相が辞任し連立政権が崩壊するオーストリアで20日、極右政党・自由党(FPOe)のヘルベルト・キクル(Herbert Kickl)内相が更迭された。これを受け自由党報道官は同日、同党所属の他の閣僚も全員辞任する意向を明らかにした。

 キクル氏に続き政権を去る閣僚は、外務・欧州・統合相、国防相、運輸・技術革新相、保健・労働・社会問題・消費者保護相ら。

 連立政権の崩壊を受け18日に解散総選挙を要請したセバスティアン・クルツ(Sebastian Kurz)首相は、キクル内相の更迭について、不祥事に対する「全面的かつ透明性のある捜査」を徹底させるために必要と説明した。不祥事で終止符が打たれた同国の連立政権は、今週末に欧州議会選を控える中、域内各国の右派勢力の模範となっていた。

 ドイツの主要メディアは17日、副首相兼公務・スポーツ相と自由党党首のハインツクリスティアン・シュトラッヘ(Heinz-Christian Strache)氏が、スペイン・イビサ(Ibiza)島で、ロシア人の支援者を装った女性に対し、選挙支援の見返りに公共事業を受注させる便宜供与を約束した様子を捉えた映像を公開。これを受け同氏は18日、三つの職を辞任した。

 映像には司法捜査を逃れる政治献金の方法をシュトラッヘ氏が示唆しているとみられる場面も含まれている。

 同国のアレクサンダー・ファンデアベレン(Alexander Van der Bellen)大統領は19日、9月に総選挙を実施したい考えを示した。(c)AFP/Julia ZAPPEI