【5月15日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は14日、対イラン関係の緊張をめぐり、米国はイランとの戦争を求めているわけではないと述べた。これに対し、イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は、両国の緊張は軍事的な対決ではなく、決意を試す出来事だと強調した。

 ポンペオ長官の発言は、米国防総省が核兵器搭載可能な爆撃機を中東に派遣する動きを見せる中でのもの。イランの主要な後ろ盾となっているロシアを訪問したポンペオ国務長官は、「われわれは基本的にイランとの戦争を求めてはいない」と発言した。

 一方、同長官は、「われわれはイラン側に対し、米国の国益が攻撃されれば、適切な方法で確実に対処すると伝えてきた」とも述べた。

 これを受けハメネイ師は、「今回の対立は軍事的なものではない。戦争は起こらないからだ。われわれも彼ら(米国)も、戦争を求めてはいない。彼らは、それが自国の利益にならないことを分かっている」と言明した。ハメネイ師のウェブサイトが、当局者らへの発言として伝えた。

 さらにハメネイ師は「イラン国家は米国に屈しないと明確に決意している」とし、「この対決において、米国は撤退を強いられる(中略)われわれの決意の方が強いからだ」と言明した。

 ハメネイ師は、米国はイランから、ミサイルと地域における「戦略的深度」を奪うことを望んでいるため、米国との交渉は「毒」だと指摘。米欧ロなど6か国とイランが結んだ2015年の核合意からの離脱を米国が決めたことに言及し、「現在の米政府との交渉は2つの意味で毒となる(中略)彼らはまっとうな人間ではなく、(約束や方針などは)何も守らない」と指摘した。

 イランは現在の危機的状況について、核合意からの離脱を米国が決めたことが原因だと非難してきた。(c)AFP/Shaun TANDON and Maria PANINA