【5月12日 AFP】米中対立の激化によって世界の外交と経済に新たな断絶が生じる可能性が高まっており、世界の首脳は未知の課題に直面する可能性があるという。

 フランス国際関係研究所(IFRI)のアリス・エクマン(Alice Ekman)氏は、貿易戦争の激化から南シナ海(South China Sea)での勢力争いまで、「私たちは、米中が長きにわたって激しく対立する新時代に突入した」と述べた。

 インドの首都ニューデリーのシンクタンク、政策研究センター(CPR)のブラーマ・チェラニー(Brahma Chellaney)氏は、「米国で進行中の対中国政策のパラダイムシフトは、世界で最も重要な二国間関係はもちろんだが、さらに重要なことには、地球規模の安全保障にも重大な影響を及ぼす」と指摘。この影響は長引く恐れもあり、欧州やアジア、アフリカの国々は、真っ向から対立する二つの超大国との関わり方について再考せざるを得なくなるという。

 チェラニー氏はさらに、「ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権の下で行われてきた重大な政策転換は、トランプ大統領退任後も維持されるだろう。政策転換は、中国への『建設的関与』というかつての政策は破綻したという米政界の超党派のコンセンサスを反映したものだからだ」との見方を示した。

 エクマン氏は、長期的には「対立する二極」、「二つの異なる形のグローバリゼーション」が生じるという想定も可能であり、「国際関係の分極化は、インフラ網や各種の規格、国際機関などをめぐる新たな形での競争を引き起こすだろう」との見方を示した。

 他の国々は事実上、米国と中国のどちらの側につくかを決めざるを得なくなる。どちらを選ぶかは、政治的選好や地理的な近接性、米・中それぞれに対して持つ経済的脆弱(ぜいじゃく)性などの要因によって決まるという。(c)AFP/Fabien ZAMORA