【5月9日 AFP】米コロラド州デンバー(Denver)郊外の学校で7日に発生した銃乱射事件で、犠牲となった男子生徒が乱射犯の一人に立ち向かい、他の生徒が逃げたり隠れたりするための時間を稼いでいたことが明らかになった。事件ではこの男子生徒が死亡したほか、8人が負傷した。

 現場となったハイランズランチSTEM学校(STEM School Highlands Ranch)の生徒がNBCテレビの取材で明らかにしたところによると、同級生のケンドリック・カスティーヨ(Kendrick Castillo)さん(18)は他の生徒3人と共に乱射犯2人のうちの一人に立ち向かい、命を落とした。

 ただ、カスティーヨさんたちのおかげで他の生徒たちが机の下に隠れたり、逃げたりすることができたという。

 取材に応じた生徒はカスティーヨさんたちについて、「とても勇敢だった。彼らにはいくら感謝してもしきれない」と述べた。

 近年米国では銃乱射事件が相次いでおり、政治学者のロバート・スピッツァー(Robert Spitzer)氏によると、銃乱射に巻き込まれた際の行動として警察は「逃げる、隠れる、戦う」という行動を実践するよう推奨している。

 スピッツァー氏はAFPの取材に対し、丸腰で仲裁に入る人がしばしば銃撃犯の犯行を阻止することに成功しているという事実も含む、数々の英雄的行為に関する話題やニュースが広まることで、より多くの人が身をていする行動を起こすようになってきていると指摘。

 また、歴代政権が銃乱射事件を根絶できずにいる米国では「(こうした英雄的行為が)ただの行動ではなく、そうすることが重要であるかもしれないという希望になっている」と強調した。(c)AFP