■パキスタンへの多額投資の影響も

 解放に関して、中国外務省はコメントを拒否している。パキスタンの外務省報道官も取材に応じなかった。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch )の中国担当上級研究員マヤ・ワン(Maya Wang)氏は、収容所から解放された後、自宅軟禁に置かれたり、行動を厳しく制限させられたりしている話を聞いたことがあると話す。

「今回の解放は、新疆での厳しい弾圧に対する国際社会からの圧力の高まりに、中国政府がますます敏感になっていることを示すものだろう」

 また、豪ラトローブ大学(La Trobe University)で中国の公安問題を専門としているジェームズ・リーボールド(James Leibold)氏も、中国政府は「新疆における政策への国際社会からの批判が、イスラム教国家、とりわけパキスタンにまで広まることを見過ごすことはできないのだろう」と指摘する。

 中国は近年、パキスタンとの関係を強化しており、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)の下、インフラ事業に多額の資金を投じている。

 一方パキスタンは、新疆でのイスラム教徒弾圧に対する国際的批判に表向きは同調している。同国のイムラン・カーン(Imran Khan)首相はこの問題について、英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)のインタビューで「率直に言って、それについてはよく分からない」と述べた。

 パキスタン人の夫にとって、妻は今も行方不明も同然だ。愛する妻や母親の解放を最初は喜んだものの、帰って来た女性たちが別人のようになっているのを見てその喜びが消えたと話す男性もいる。

 宝石商の男性は、「妻はまったく別人になってしまったので、私たちの結婚はもう長く続かないのではないかと心配している」と語った。 (c)AFP/Gohar ABBAS