【5月3日 AFP】同性愛者への暴言を繰り返してラグビーオーストラリア代表から除外される危機に直面しているイズラエル・フォラウ(Israel Folau)が、同国ラグビー協会(Rugby Australia)の審議会で自身の進退が決まるのを前に、信仰心に妥協を見いだすつもりはないと涙ながらに訴えている動画が、3日に公開された。

 ワラビーズ(Wallabies、オーストラリア代表の愛称)のFBとして活躍するフォラウが先月、ソーシャルメディアでゲイには「地獄が待っている」と書き込み、昨年もネット上で同様の暴言を吐いていることから、同協会は熱心なキリスト教信者である同選手との契約を破棄する方針を示している。

 今回の行動規定違反に関する審議会は豪シドニーで4日に開かれることになっており、協会側はここでフォラウの複数年、数百万ドルに及ぶ契約を解除するかどうか決定する見通しとなっている。

 フォラウの将来が不透明な状況となっている中、オーストラリアのメディアではこの日、キリスト教の祝日イースター(Easter、復活祭)の日曜日に、同選手が地元の教会で自身の試練に関する説教を行っている動画が公開された。フォラウはその中で、「もし仕事場で信仰に妥協するようなことを言われたら、これは自分にとって立ち向かうべき試練だ」「問題なのは、その時自分はどうするかだ」と訴えていた。

「キリストの兵士」と自称する30歳のフォラウは、「人はたとえ全世界を手に入れても、自分の魂を失ったら何の得があるだろうか?」と聖書の言葉を引用した後、思わず涙をあふれさせていた。また、信者からティッシュを渡されて必死に落ち着きを取り戻そうとする中で、「私たちが生きている人生は、本当に厳しい」と話した。

 審議会を前に、携帯電話で撮影された今回の動画がどのようにして流出したかは定かではない。協会によれば、審議会は双方から3人の委員が出席する中で5日まで延長される可能性があるものの、最終決定については今週中には出ない見通しだという。

 フォラウが信仰の自由を行使しているのに対し、協会側はその手段として、ゲイのような少数派を中傷してラグビー界の名誉を汚すようなやり方は容認できないという姿勢を示している。(c)AFP