【4月25日 AFP】イタリア・セリエAのラツィオ(SS Lazio)のサポーターが、24日に行われたイタリア杯(Italian Cup 2018-19)準決勝第2戦のACミラン(AC Milan)戦を前に、同国の独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)を支持する横断幕を掲げ、さらに報じられるところによれば試合中には人種差別的なチャントを繰り返した。これを受けクラブ側は、ネオファシズムに関連する出来事をファン全員のせいにしようとするメディアの「極度に単純化された傾向」を非難した。

 伊ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)紙によれば、「ベニト・ムソリーニに敬意を」と書かれた横断幕を掲げた覆面の集団は、1945年にムソリーニの死体がつるされたロレート広場(Piazza Loreto)の近くでファシズムの歌を歌い、ナチス式の敬礼を行っていたという。

 SNS上で拡散されている短い映像からは、この集団が極右と長い関わりを持つラツィオの過激派サポーター集団「イッリドゥチビリ(Irriducibili)」であることを示す「IRR」という文字が入った横断幕を掲げている様子が確認できる。

 この試合ではミランのティエムエ・バカヨコ(Tiemoue Bakayoko)とフランク・ケシエ(Franck Kessie)が人種差別的な言葉を浴びせられ、ラツィオの1-0の勝利は水を差される結果となった。

 ラツィオは「われわれは、119年にわたって自分たちが推奨し、支持してきたサッカーの価値にまったく一致しない振る舞いや行いから明確に距離を置いている」と発表した。

「また、サッカーの情熱とは無関係のところから生まれた少数派による行動の責任を全ラツィオファンのせいにしようとする、過度に単純化されたメディアの傾向に対して異議を唱え、これを認めない」「われわれはこれまで、法の順守と正しい振る舞いのために戦ってきた」

 報道によれば、捜査当局は問題になっている横断幕を掲げた22人を特定したという。

 ミランが1-0でラツィオを下した今月のリーグ戦では、バカヨコとケシエがラツィオのフランチェスコ・アチェルビ(Francesco Acerbi)のユニホームをトロフィーのように掲げたため、ピッチ上で衝突が起きた。この件に関しては、バカヨコとケシエには総額8万6000ユーロ(約1080万円)の罰金が科されている。

 また、試合前にバカヨコに人種差別的なチャントが向けられている映像も、SNS上では拡散されている。(c)AFP