■電子廃棄物の利用も

 仏高級ブランド「ケリング(Kering)」で宝飾品の持続可能性に関する部門の責任者を務めるクレール・ピロッディ(Claire Piroddi)氏は、「フェアマインドやフェアトレードの認証を受けた金の割合を最大化しようとしているが、生産量がわずかしかないにもかかわらず需要は大きい。このためわが社で仕入れる金の大半は、RJCのCoC(加工・流通過程の管理)認証を受けたリサイクルされた金となっている」と話す。

 フェアマインド認証やフェアトレード認証を受けた金は「価格が約10~12%高いが、リサイクルされた金に上乗せされている価格はほぼない」と言う。

 昨春に立ち上げられたばかりのブランド「クルベ(Courbet)」はさらに先を行き、電子廃棄物や産業廃棄物から回収した貴金属のみを使った製品を販売している。

 同社の共同創設者でアート部門責任者のマリーアン・ワハトマイスター(Marie-Ann Wachtmeister)氏は、「私たちは採鉱や、最近採掘された金の使用に反対している。埋蔵量の半分以上はすでに採掘されているからだ」と述べた。

 ワハトマイスター氏は「採掘場の鉱石1トンに含まれる金は5グラムほどだが、電子廃棄物1トンからは200グラムの金が回収できることもある」と付け足した。

■金の削りくずも活用

 一方、仏パリで1886年に創業したジュエリーメーカー「ポンス(Ponce)」は、RJC認証を受けたリサイクルされた金のみを扱っている。

 同社のティエリー・ルメール(Thierry Lemaire)社長は、「良い仕事をしたいと思うなら、すべてを完璧に行い、自然に敬意を払わなければならないという論理がこの背景にある。今はサプライチェーン全体が標準化されたので、それが可能となった」と話す。

「毎週金曜日に大掃除をする。目の細かいくしを持って工房に行き、(金の)小さなかけらや削りくずを拾い集める」とルメール氏は話す。

「何一つ無駄にはしない。真に高潔なサプライチェーンだ」 (c)AFP/Katia DOLMADJIAN