【4月16日 AFP】米シンクタンク、ランド研究所(RAND Corporation)は15日に公表した報告書で、ロシアの侵略を抑止するためエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国にレジスタンス(地下抵抗運動)の細胞組織を持たせる構想を示した。

 報告書は米国防総省が委託したもの。これによると、細胞組織には、サイバー対処、ドローン運用、長距離移動通信、非致死性兵器、小火器、爆発物、対戦車・対航空機兵器などの能力を持たせるという。

 報告書の主著者スティーブン・フラナガン(Stephen Flanagan)氏は、「総合的な防衛力および非正規戦への対処能力は、バルト3国と北大西洋条約機構(NATO)が行ってきた正規戦での防衛努力を補完するものだ」と述べ、ロシアが、2014年にクリミア(Crimea)半島に行ったのと同じようにバルト3国を侵略したとしても、こうした細胞組織があれば各国やNATOは対応する時間を稼ぐことができると指摘した。

 いずれも2004年にNATOに加盟し、ウクライナと同じく国内に少数派のロシア系住民を抱えているエストニア、ラトビア、リトアニアの3国は特殊部隊の増強に取り組んできた。報告書は、バルト3国、欧州連合(EU)、NATOに対し、危機管理や情報活動、レジスタンス、欺瞞(ぎまん)情報への対処などで協力を強化するよう呼び掛けている。

 また報告書は、バルト3国の細胞組織に暗視ゴーグルや携帯用コンピューター、カメラや全地形対応車(ATV)などの装備を持たせるための初期費用を1億2500万ドル(約140億円)と推計している。(c)AFP