■さらなる努力

 グリーンピース(Greenpeace、北欧オフィス)などの環境保護活動団体は、イケアの新たなイニシアチブは取り組みの第一段階としては評価できるが、環境に配慮している企業と認められるにはさらなる行動が必要だと指摘する。

 例えばイケアの製造部門が主要市場から離れた場所に置かれていることもその一つ。製造拠点と販売拠点を行き来する際の長距離輸送が環境汚染につながっているというのだ。イケアの製品の多くはグループ会社のイケアインダストリー(Ikea Industry)が、ポーランド、ロシア、スロバキア、スウェーデンの工場で製造しているが、2017年の世界の最大市場はドイツ(売り上げの15%)、米国(同14%)、フランス(同8%)となっていた。

 グリーンピースはさらに、イケアがパーム油や木材などの天然資源の他、プラスチックも大量に使っていることを批判している。これについては、2020年までに使い捨てプラスチックの使用をなくし、サプライヤーが環境に配慮した事業計画に変更できるよう支援することをイケアは表明している。

■家具の使い捨て文化

 スウェーデンのルンド大学(Lund University)のセシリア・カシンガー(Cecilia Cassinger)教授(コミュニケーション戦略)は、「循環経済に移行する上で重要となるのは、持続可能な物流(輸送、保管、組み立て)、サービス(保守管理)、廃棄物管理だ」と話す。

 同氏は、イケアが2030年までに目標を達成するためには、その製品寿命を延ばすことが絶対条件だと指摘する。

 イケアは、家具を安価で流行最先端の消耗品と位置づけることで業界に革命を起こした。しかし、それは同時に使い捨ての概念を定着させることにもつながった。

 そうした経緯がある中でカシンガー氏は、イケアのビジネスモデルそのものに疑問を投げかける。

「シェアリングサービスやレンタルは適切な手段の一つかもしれない」

「だが、製造規模を縮小して製品カテゴリーを絞り、(壊れたら)新しい製品に買い替えるのではなく、イケアのカスタマーサービス部門で保守管理が簡単にできる、高品質で相応な値段の製品に注力するという選択肢もあるのではないだろうか」 (c)AFP/ Hélène DAUSCHY