【4月14日 AFP】米名門ジョージタウン大学(Georgetown University)で11日、同大を設立したカトリックのイエズス会に売られた奴隷たちの子孫に対する償いを目的とした基金の設立が、学生協会の投票で承認された。ジョージタウン大学学生協会(GUSA)によると、投票結果は賛成2541票、反対1304票。この種の基金の設立は米国で初めて。

 首都ワシントン近郊のジョージタウン地区にある同大は1789年にイエズス会によって設立されたが、イエズス会は1838年、借金を返済するために奴隷272人を売却した。基金は、この272人の子孫の教育支援や慈善活動などを目的とし、ジョージタウン大の学生と奴隷の子孫たちで構成された理事会が運営する。資金は学期ごとに学生1人から27ドル20セント(約3050円)を徴収して賄う。

 大学側は学生投票の結果に拘束される義務はないが、トッド・オルソン(Todd Olson)副学長(学務担当)は「本学の学生による合意を尊重する」と述べた。

 ジョージタウン大には学部生7000人以上が在籍。学部生の2019会計年度の授業料は、5万3520ドル(約600万円)となっている。

■奴隷子孫への賠償、大統領選で論点となる可能性も

 奴隷の子孫であるアフリカ系米国人たちへの賠償をめぐっては、2020年米大統領選に向けた民主党予備選の候補者たちの間でも議論が展開されている。

 米国初の黒人大統領となったバラク・オバマ(Barack Obama)氏や16年の米大統領選で民主党候補に指名されたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官は、奴隷子孫への賠償について支持を示さなかった。だが、20年大統領選の民主党予備選候補者では、マサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員やテキサス州サンアントニオ(San Antonio)のフリアン・カストロ(Julian Castro)元市長らが、奴隷子孫への賠償を強く支持すると表明している。(c)AFP