【4月10日 AFP】人類は毎年数百万トンものプラスチックを世界の海に捨てているが、海面上にはそのごく一部しか見えないのはなぜか――この謎は長年、科学者らを悩ませ続けてきた。

 地球上の「行方不明のプラスチック」がどこにたどり着いているのか、という謎の解明に一歩近づいた可能性がある研究結果が9日、発表された。これは、人類が発明した物質の中で最大の汚染物質の一つであるプラスチックを追跡し、移動経路の地図を作製する史上初となる国際プロジェクトの成果となる。

 プラスチックごみであふれる砂浜や、外洋上でごみが浮き沈みしながら渦巻いている様子を捉えた画像のおかげで、各国政府や都市の間で使い捨て文化に歯止めをかけようとする動きが広がっている。海面から海底まで海のあらゆる部分にプラスチック問題が浸透しているということを示す証拠も増加している。

 毎年海に捨てられるプラスチックごみ400万~1200万トンのうち、海面にとどまっているのはわずか25万トンにすぎないと考えられている。全体的にみると、数十年間にわたり海に投棄されたプラスチックの99%以上が現在、行方不明になっている。

 プラスチックは浸食、紫外線、微生物腐敗などにより劣化するのに伴い密度が変化し、海流に流されるまま漂流を続ける。ひとたび海中の下層部分に引き込まれると、追跡がはるかに難しくなる。

 英ニューカッスル大学(Newcastle University)自然環境科学部のアレセア・モントフォード(Alethea Mountford)氏は、AFPの取材に「それらのすべての場所を確定するのは極めて難しい。非常に多くのプロセスが作用しているからだ」と語る。

「海面にあるプラスチックですら、浮き沈みを繰り返している。常に、海のさまざまな領域で、さまざまな深さを移動し続けている」