【4月26日 CNS】第1回冷湖(Lenghu)SF文学賞の受賞作品「霊魂游舞者(訳注:さすらう魂を持つ者)を視覚障害者向けに改編した中国初の「超感覚映画」の上映会が、北京の中国盲文図書館(China Braille Library)で行われた。プロデューサーの呉明(Wu Ming)氏は初の上映会に際し、「この作品は視覚効果に依存してきた従来の映画の限界を打ち破り、視覚障害者が全身でSFの魅力を感じることができるようにした」と語った。

「霊魂游舞者」の物語は、荒漠とした火星のような場所から始まる。主人公は、父親の死の謎を探るため、故郷の青海省(Qinghai)冷湖鎮に帰ってくる。子を亡くした老年夫婦に出会い、共に旅に出ることになった主人公は、神秘的な異星人の導きの下、宇宙生命の巨大な秘密を発見する…というあらすじだ。

 呉氏によると、いわゆる「超感覚映画」とは「感覚器官を超越した芸術的体験」であり、音声でストーリーを語る作品だという。「物語をただ単に朗読するだけではなく、映画の各シーンの雰囲気を補った。『超感覚映画』の音声による表現方法は、健常者が視覚障害者にとってのSF世界を理解する一助となる」と呉氏は語る。

 映画会終了後、来場していた任金義(Ren Jinyi)さんは記者に対し、「これまでは映画を『聞く』だけの感覚だったが、今回は初めて映画を『見る』感じを持てました。臨場感があって想像でき、考えられる。この感覚がとても気に入りました。今後、こうした映画がもっと出てくることを期待しています」と語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News