【4月6日 AFP】イスラエル軍による1982年のレバノン侵攻時に行方不明となっていたイスラエル兵の遺体が、ロシア軍とシリア軍によって発見され、イスラエルに返還された。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が4日、発表した。

 ザハリヤ・バウメル(Zachary Baumel)一等軍曹は、レバノンの村で起きたシリア軍との戦闘後、他のイスラエル兵2人と共に行方不明になった。ロシアによると、遺体はモスクワを訪問しプーチン氏と会談したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相(69)に引き渡された。

 汚職容疑を掛けられているネタニヤフ氏は、今月9日の総選挙で再選を目指しているものの、苦戦が予想されている。専門家らは、ネタニヤフ氏が今回のモスクワ訪問を選挙勝利に向けた追い風としたい考えだと指摘している。

 プーチン氏はバウメル一等軍曹について、「わが軍と同盟国のシリア軍が、埋葬場所を発見した」と述べたが、遺体が見つかった場所については、ロシアもイスラエルも詳細を明らかにしなかった。ネタニヤフ氏によると、バウメル一等軍曹の父親は既に死去したが、母親は現在100歳前後で健在。姉妹も1人いるという。遺体は4日、エルサレムの軍人墓地に埋葬された。

 イスラエル首相府の発表によると、ネタニヤフ氏は遺体の返還式典で、ロシアは「ナチス(Nazi)の怪物からユダヤ人を救った」などと述べ、第2次世界大戦(World War II)中にロシアが払った「大きな犠牲」をたたえた。

 ネタニヤフ氏によると、同氏は2年前、バウメル一等軍曹らの遺体捜索への支援をプーチン氏に求めていた。ネタニヤフ氏は「あなたは直々に対応し、この神聖な行いを支援するよう命じてくれた」「われわれはこの行為を忘れない。歴史に残るだろう」と述べ、プーチン氏に謝意を示した。(c)AFP/Ola CICHOWLAS