■香港の「バンクシー」出現に期待

 安全第一のアーティストもいる。

「香港にいたくないため、ドイツや台湾に行ったアーティスト仲間もいる」と、ウォンさんのスタジオでアシスタントを務めるアーティストのマン・チャン(Man Chan)さん(32)は話す。

 香港にとどまっているものの、作品は海外に持ち出すアーティストもいる。

 2014年に香港で起きた民主派による大規模デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」の期間中に描かれたスケッチは昨年、英ロンドンの大英博物館(British Museum)で展示された。

 一方で、故郷での闘いを続ける若手アーティストもいる。

「いつも香港のことを気にかけてきた。作品を通じてこうした主題の議論を試みるアーティストであり続けてきた」とシウ・ワイハン(Siu Wai-hang)さん(32)は話す。ワイハンさんは、7月1日に行われた民主化要求デモを描いた映像作品で昨年、香港の優れた人権アートに与えられる賞を獲得した。

 ウォン氏もこれに同意する。

「超抑圧的体制下では、人は完全に諦め、何も行動しないなんて考えないでほしい。(英覆面アーティスト)バンクシー(Banksy)みたいな活動をする人が出てくる。目に見えないプラットフォームができるだろう」 (c)AFP/Alice PHILIPSON