【4月3日 AFP】18-19イタリア・セリエAは2日、第30節の試合が行われ、ユベントス(Juventus)は2-0でカリアリ(Cagliari Calcio)に勝利したが、ゴールを決めた新星モイゼ・ケアン(Moise Kean)が人種差別の標的となった。

 試合は22分にレオナルド・ボヌッチ(Leonardo Bonucci)が頭で先制点を決めると、85分にケアンが追加点を挙げてユベントスがリーグ8連覇へさらに前進した。19歳のケアンはこれでリーグ戦4戦4発と好調を維持している。

 ところが前半にシミュレーションでイエローカードをもらって以降、ホームのカリアリファンからやじを浴びていたケアンは、得点後にカリアリファンの前で両手を大きく広げてゴールを祝福。これがホームサポーターの怒りに火をつけ、その前からケアンやブレーズ・マテュイディ(Blaise Matuidi)、アレックス・サンドロ(Alex Sandro)を標的にしていたモンキーチャント(猿の鳴きまね)が激しさを増した。

 カリアリサポーターはケアンに物も投げつけていたようで、試合は一時中断。抗議の声がマイクに拾われる中、昨年もこのスタジアムでやじの標的になったマテュイディは怒りをあらわにしていた。

 この出来事についてボヌッチは、ケアンはカリアリサポーターを挑発するべきではなかったと考えており、伊スカイ・スポーツ(Sky Sport Italia)に対して、不快な状況になったのはケアンの側にも責任の一端があると話した。

「ゴールは仲間と喜ぶべきだということはケアンも分かっている。別のやり方があったことはね」「あのゴールの後に人種差別的なやじがあった。ブレーズはそれを聞いて怒っていた。自分としてはお互いさまだと思う。モイゼはあんなことをすべきじゃなかったし、ゴール裏もああいうかたちでやり返すべきじゃなかった」「自分たちはプロだ。手本を示すべきで、誰かを挑発すべきじゃない」

 今回の一件は、欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン(Aleksander Ceferin)会長が、今後は差別的なチャントが確認された場合、試合の中止を審判に要請すると話したその日に起こった。

 ユベントスのマッシミリアーノ・アレグリ(Massimiliano Allegri)監督は「いつものことで、どこにでも愚か者はいるものだが、同時に普通の人々もいる」「カメラがあるから、特定して入場禁止にすればいい」とコメントした。

 対してカリアリのトンマーゾ・ジュリアーニ(Tommaso Giulini)会長は、スタジアムが緊迫した雰囲気に包まれたのはケアンに原因があると話した。

「あれをやったのが(フェデリコ・)ベルナルデスキ(Federico Bernardeschi)だったとしても、スタジアムの反応は同じだったはずだ」「あの時点では、誰も何も聞いていなかった。ケアンは過ちを犯したが、まだ19歳だし仕方ない」「聞いたのはほとんどが口笛だ」「ああいう独り善がりな行動は好きではない。このクラブは常に模範だし、人種差別的な行為は常に許さない」 

 ユベントスはこれで、3日にエンポリ(Empoli)とのアウェーゲームを控える2位ナポリ(SSC Napoli)との勝ち点差を残り8節で18ポイントとしている。次節はホームでACミラン(AC Milan)と対戦。ミランは同日、ウディネーゼ(Udinese)と1-1で引き分けた。(c)AFP/Emmeline MOORE