【3月26日 AFP】国際自然保護連合(IUCN)サメ専門家部会(Shark Specialist Group)は21日、評価対象としたサメ類58種のうち17種が絶滅の危機にひんした種に分類され、特に珍味として取引されるアオザメなどは危機的な状況にあると「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」最新版で警鐘を鳴らした。

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 55か国の専門家174人から成るIUCNサメ専門家部会の議長を務めるニコラス・ダルビー(Nicholas Dulvy)氏は、「今回の結果は憂慮すべきものだ」と主張。「特に、成長が遅くて需要が高く、乱獲に無防備な状態のサメが最も危機的な傾向にある」と述べている。

 絶滅の危機にあるサメとして分類されたアオザメは、遊泳速度が時速40キロで、最高時速は70キロ以上に達し、サメの中でも最速の種とされるが、近縁種のバケアオザメと合わせて、肉とヒレが中国などのアジア圏の伝統料理で珍味とされている。

 ダルビー氏は、AFPの取材に「現在、外洋で行われている最大規模のサメ漁の一つがこのアオザメだ」と説明。「アオザメは最も保護が進んでいない種の一つでもある」と話した。

 今年5月には、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、ワシントン条約)」附属書IIにアオザメを掲載するというメキシコの提案をめぐり、加盟国による採決が予定されている。附属書II掲載種は、漁業や輸出入が禁止されるわけではないが、規制の対象となる。

 評価対象種の中で、絶滅一歩手前の「絶滅危惧IA類(Critically EndangeredCR)」に分類されたのは6種で、そのうちホワイトフィン・スウェルシャーク、アルゼンチンカスザメ、トゲナシカスザメの3種は今回初めてCRに分類された。その他の11種は「絶滅危惧IB類(EndangeredEN)」または「絶滅危惧II類(VulnerableVU)」に分類された。