■狙いはポロシェンコ政権の失墜

 ロシアによる中央選挙委員会に対するサイバー攻撃は最近になり数回行われており、今後はさらに増える可能性があるとSBUは予想している。

 米国のカート・ボルカー(Kurt Volker)ウクライナ担当特別代表は、メディアや偽情報を通じたロシアの介入は「すでに行われている」と話す。同氏は先月AFPの取材に対し、ロシアはペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領を攻撃し、弱体化させようとしていると語った。

「ロシアはポロシェンコ大統領が権力の座から引きずり降ろされることを切に願っている。そうすれば、新政権とロシアを利するなんらかの取引を結ぶことができると期待していると思われる」

 53歳のポロシェンコ大統領の勝利は、確実からは程遠い。世論調査では、俳優でコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)氏(41)がリードしており、ポロシェンコ大統領がそれに続いている。

 SBUのクリムチュク氏は、ボットネット(悪意のあるソフトウエアを使用して乗っ取ったコンピューターで構成されるネットワーク)は、ウクライナ国民に対立の芽を植え付け、パニックを引き起こす狙いがあると話す。

 米フェイスブック(Facebook)は2016年の米大統領選で、ロシアによる選挙介入に十分に対応しなかったと批判された。このためフェイスブックは、ウクライナの選挙戦では、地元政府やNGOと協力し対策を取るとしており、外国人による選挙広告の掲載を認めない取り組みを先月から拡大しているという。

 クリムチュク氏によるとフェイスブックは、SBUの要請を受け、ここ数か月間で約2000件のアカウントを閉鎖した。

 ウクライナのサイバーセキュリティー専門家らは、北大西洋条約機構(NATO)や世界的企業による訓練を受けており、2014年よりもロシアのハッカーに対抗する準備は整っていると、クリムチュク氏は強調した。(c)AFP/Oleksandr SAVOCHENKO