【3月25日 東方新報】中国・江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)の化学工場爆発事故で、同市宣伝部は23日午前7時の時点で、死者が64人に上ったほか、重体が21人、重傷者が73人だと発表した。

 爆発のあった響水天嘉宜化工(Tianjiayi Chemical)事務棟について、会社側資料によると、同工場は江蘇倪家巷集団と連雲港博廠昌貿易有限公司が総投資額約3億元(約49億円)を投じて建設したもので、敷地面積は約14万7000平方メートルだ。

 同工場の北西部分に出現した大きな円形の窪みは、固体廃棄物倉庫として使われていた。円形の窪みの近くには焼却炉があり、激しく変形している。

 複数の同工場の従業員が語ったところによると、固体廃棄物倉庫は幅約20メートル、奥行約50メートルで、倉庫内には大量の使用済み易燃性綿と生産の際に排出された汚泥などが保管されており、通常はこれらの材料を混ぜ合わせた後、焼却していたという。

■37項目の問題、2月下旬までに対応

 同工場の元従業員の話によると、同社は2010年試験生産の際に一度爆発を起こしたことがあったが、設備の損傷だけで、人的な被害はなかったという。この点については、現従業員からも確認が取れている。

 記者が入手した内部資料によると、今年1月10日に同社は内部通知を出し、リスク調査改善チームを設立し、同社の張勤岳(Zhang Qinyue)総経理がチーム長を兼務した。同23日の現場検査で、37項目の問題が指摘され、翌2月22日には改善を完了したとしている。

 継続して測定している環境観測データはいずれも正常値を示しており、地元住民の飲み水に影響はない。化工工業団地内の汚水や現場の救出作業で放出した消防用水が灌河(Guanhe)に流れ込むのを防ぐため、新豊河(Xinfenghe)、新農河(Xinnonghe)などへ通じる川筋で流れをせき止める措置を取った。

 響水県関係者の話によると、同地区の89戸の家屋は損壊がひどく、修復不能とおい。現在は、修復可能な損壊程度が比較的軽い家屋の応急処置を行い、損壊の程度の激しい農村部の家屋については取り壊す手はずを整えている。該当する農業従事者に対しては、金銭による補償を行うか、あるいは新型居住区への入居を検討するとしている。

 事故発生地付近の10か所の学校は、校舎のドアや窓ガラスが損壊したが対応済みで。25日には陳家港地区の学校がすべて授業を再開できるようにするとしている。(c)東方新報/AFPBB