【3月31日 東方新報】「私は大学指導員スマート音声アシスタントの『小AI』です。今日あなたは授業に出ませんでしたね…」。

 中国・杭州市(Hangzhou)にある杭州電子科技大学(Hangzhou Dianzi University)の学生が授業に出席しないと、こんな自動音声電話がかかってくる。それと同時に、指導員にもこの情報が伝わる。

「AIに支配される恐怖!大学が授業出席を促すAIシステムを開発」というタイトルの動画がインターネット上に配信され、注目を集めている。

 動画に登場するのが、冒頭の杭州電子科技大学が開発したAI システムだ。このシステムは授業の出欠記録を取るだけでなく、欠席した学生に出席を促すこともできる。欠席した学生に自動音声電話をかけて警告し、欠席理由を尋ね、欠席に関連する処罰規定も説明するのだ。欠席情報は指導員に届けられると共に、記録される。

 杭州電子科技大学はこのAIシステムの開発者だが、実際に活用し恩恵も受けている。

「教師が教室で任意の時間に出欠記録用アプリを開くと、自動生成されたランダムな検証コードが学生たちに送信される。学生は自身の端末のアプリにこのコードをインプットして出席登録をする。出席登録のために与えられる時間はわずか36秒で、教師はこの時間をさらに短縮することもできる。このシステムで出欠のごまかしが起きる可能性は最小限になった」。同大学生課の胡海濱(Hu Haibin)副課長は、こう説明する。

 規定時間内にアプリで出席登録をしなかった学生には、AIシステムから電話がかかる仕組みになっている。

「学生が電話を受けた後すぐに教室に到着した場合は、教師の裁量で出欠データの修正も認めている。このシステムはすでに50%以上の授業に導入されているが、導入してわずか2週間で、導入した授業の学生出席率は前学期より7ポイント上昇した」

 指導員は、出席しなかった学生からその理由を聞き出し、原因のさらに奥深いところまで掘り起こす。記録されたデータを参考に、学生らのさまざまな問題に対して個別に指導や心理カウンセリングも行う。

 胡副課長は、「検証コードでの出欠確認やAI音声警告は、表面的な管理に過ぎない。ビッグデータを集計して学生の問題を分類し、授業に出ない真の原因を探り当て、指導につなげることが本質的な管理だ。我々がこのシステムを開発した最大の意義はここにある」と強調する。(c)東方新報/AFPBB News