【3月22日 AFP】米大リーグ(MLB)で数々の金字塔を打ち立てたシアトル・マリナーズ(Seattle Mariners)のイチロー(Ichiro Suzuki)が21日、現役引退を発表した。

 日本で行われたオークランド・アスレチックス(Oakland Athletics)との19年シーズン開幕シリーズ第2戦後、45歳のイチローは2001年から始まったMLBでの挑戦にピリオドを打った。

 現役最後の打席を内野ゴロで終えたイチローは8回の守備で交代となり、右翼からダッグアウトへ戻る間、満員となった東京ドーム(Tokyo Dome)には大きな拍手が鳴り響いた。

 拳を突き上げ帽子を脱いで大声援に応えたイチローがマリナーズの同僚一人一人と抱擁を交わすと、その中には涙を流すチームメートの姿もあった。試合は延長の末マリナーズが5-4で勝利し、開幕シリーズ2連勝を飾った。

 イチローは引退会見で「最後にこのユニフォームを着てこの日を迎えられたこと、大変幸せに感じています」と切り出した。

 試合後5万4000人の観客の拍手と大声援は20分以上続き、イチローはグランドに呼び戻されてファンに最後の別れを告げた。「日本のファンの方の熱い思い。それを表現したときの迫力は今までに想像できなかったこと。これは最も特別な瞬間になります」

 渡米した2001年に新人王に輝いたイチローは、その後数々のMLB記録を打ち立て、将来の米国野球殿堂(Baseball Hall of Fame)入りが確実視されている。

 2017年にロッド・カルー(Rod Carew)氏を抜いて米国外出身選手の歴代安打数でトップに立ったイチローは、最終的にその記録を3089にまで伸ばした。また、2004年に262安打を放ったイチローは、1920年のジョージ・シスラー(George Sisler)氏を5本上回り、84年ぶりにシーズン最多安打記録を更新した。

 MLB史上初の10年連続200安打を達成するなど日本で絶大な人気を誇るイチローは、2006年と2009年のワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball ClassicWBC)では母国を優勝に導いた。

 今季のスプリングトレーニングで打率.080に終わったイチローは、日本での開幕シリーズ後にロスター枠が25人に絞られるため、今後の選手生活には疑問符がついていた。

 日本球界復帰と将来の監督業の可能性を一貫して否定しているイチローは、「(2012年に)ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)に行ってからは毎日クビになるんじゃないかというのはありました」「毎日そんなメンタリティで過ごしてきました」と振り返った。

「これまで応援してきてくれた方々に感謝しています」

「後悔などあろうはずがありません」

「野球のことを愛してきました。これは変わることはなかったです」 (c)AFP/Alastair HIMMER