■標的は遺伝子変異

 今回の研究は、潜在的に危険な状態にある4つのサブグループについて、それぞれの遺伝子変異を特定することにより、乳がん患者の新たな治療法開発につながる道を開くものだ。

 これらの変異は信号伝達系に問題を生じさせ、好ましくない細胞増殖を引き起こす可能性がある。これにより、腫瘍の形成や発達が加速される恐れがある。

 カーティス助教は、AFPの取材に「これらドライバー遺伝子変異(がん細胞の増殖や生存に関与する遺伝子変異)の多くを治療の標的にできる可能性、つまり新たな治療法の選択肢が示唆されている。だが、これに関しては臨床試験を行う中で判断する必要がある」と語った。

■治療の向上

 今回の研究で使用したデータには数十年前の患者も含まれており、これは比較的最近に開発されたり承認されたりした治療法を当時の患者が利用できなかったことを意味すると、研究チームは注意を促している。最近の治療法の一部により、特定の種類の乳がんを抱える患者の生存率は著しく向上している。

 それでも、今回の研究成果は、がんの再発に見舞われる危険性が最も高い患者を医師らがより正確に予測するために大きな助けとなるはずだ。

 研究チームは今回のコンピューターモデルを用いて、医師向けのオンライン「乳がん再発予測」ツールを開発した。

 カーティス助教によると、チームは現在、がん再発のリスクが最も高い患者にみられる遺伝子異常を標的とする治療選択肢のための臨床試験を進めているという。(c)AFP/Sara HUSSEIN