【3月12日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏を殺害した罪に問われていたインドネシア人のシティ・アイシャ(Siti Aisyah)元被告がマレーシア当局から電撃的に釈放されたことについて、同国のマハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)首相は12日、釈放は「法の支配」に従ったものとの見解を示した。

 アイシャさんは2017年、クアラルンプール空港(Kuala Lumpur Airport)で正男氏を殺害したとして逮捕されていた。

 だがマレーシアの裁判所は11日、検察側の起訴取り下げ要請を受理。アイシャさんは釈放されたものの、検察側は取り下げの理由を明らかにしなかった。

 突然の釈放を受けて、マレーシアの司法システムへの干渉があったのではないかとの臆測が浮上。インドネシア政府は、ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領が圧力をかけるなど、本件に関してマレーシア政府に働き掛けていたことを明らかにしており、臆測に拍車を掛けた。

 マレーシアのマハティール・モハマド首相は、釈放の決定は「法の支配」に沿ったものであると主張。議会で記者団に対し、「起訴の取り下げを認める法律がある。これが適用されたということだ。詳しい理由については知らない」と述べ、本件に関してインドネシアとマレーシア間でいかなる交渉があったことも認識していないと強調した。

 一方でインドネシア当局は11日、同国の法相がマレーシアの検事総長に送付した書簡を公開。書簡で法相はアイシャさんが「だまされていた」として釈放を求めていた。検事総長は先週、この要請に合意したという。

 だがアイシャさんの釈放はマレーシア国内で怒りを招き、同国政府が外交圧力に屈したとの非難の声も上がっている。(c)AFP