■独裁政権が多いアフリカでは規制受けずに監視技術の開発が可能

 ビッグデータと人工知能(AI)の手にかかれば、群衆はもはや匿名ではない。オンラインで容易に入手できる膨大なデータと顔認証アルゴリズムを組み合わせれば、監視装置の前を通過したあらゆる人物の特定が可能になる。

 ファーウェイ幹部は、「その人物の情報をつかんでいなかったとしても、身元を特定することはできる。氏名、学歴、家族関係、好み、渡航歴などもだ」と語る。

 監視技術を支持する人々は、こうしたデータは警察が犯罪者を追跡するにも、企業が潜在顧客を掘り起こするのにも役に立つと主張する。しかし、市民の自由や人権を擁護する立場の人々からは、大衆監視の危険性に懸念の声が上がっている。

 アフリカでは、さまざまな国の独裁主義的な政権が反対派を排除するために人権侵害を行っているとしてしばしば糾弾されている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は今年の年次報告でエジプトを取り上げ、政府が対テロ対策と安全保障上の懸念を「口実に、あらゆる種類の反対意見を弾圧している」と指摘した。

 欧州連合(EU)は昨年、監視活動に関する懸念から「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」を導入した。だが、ブラジルのソフトウエア企業デジフォート(Digifort)のフランソワ・レビー(Francois Levy)氏によると、欧州では現在、規制されている技術が「中東やアフリカならば開発可能」な状態にある。