【3月11日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、メキシコ国境の壁の建設費用として2020年度予算で86億ドル(約9600億円)を要求すると、米国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー(Larry Kudlow)委員長が10日、明らかにした。

 11日に正式発表される予算要求は、トランプ氏が昨年求めた57億ドル(約6300億円)をはるかに上回る。昨年の予算要求では議会がこう着状態となり、これまでの最長の35日間という米政府の一部閉鎖をもたらした。今回の要求は再び議会との対立を生みそうだ。

 民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長とチャック・シューマー(Chuck Schumer)民主党上院院内総務はこの動きを激しく非難、トランプ氏はもう一度議会で敗北することになると警告した。

 クドロー氏は「フォックス・ニュース・サンデー(Fox News Sunday)」のインタビューで、壁建設費のための今回の新たな予算要求が、議会での新たな対立を招く可能性を認めた。「そうなるだろうと思う」と同氏は述べつつ、トランプ氏は「壁にこだわるだろう。国境の治安にこだわるだろう。それは不可欠なことだと私は思う」と語った。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の報道によると、トランプ大統領の壁資金のための予算要求は、国土安全保障省から50億ドル(約5600億円)、国防総省から36億ドル(約4000億円)という形になるという。

 これはトランプ氏が先月、非常事態宣言の下で他省庁の計画資金から壁建設費に振り向けるよう命じた67億ドル(約7400億円)への追加分となる。

 民主党が多数を占める下院は先月、トランプ氏が国家非常事宣言を通じてメキシコ国境の壁建設予算を確保することを差し止める決議案を賛成245・反対182で可決した。

 共和党がかろうじて過半数を確保している上院は、同じ決議案を今週採決する。少なくとも4人の共和党議員が民主党と共に決議案に賛成する姿勢を示しており、決議案は可決される可能性がある。

 その場合トランプ氏は大統領就任後初となる拒否権を発動するとみられている。大統領の拒否権を覆すには上下両院で3分の2の賛成が必要となる。

 上院共和党ナンバー3のジョン・バラソ(John Barrasso)上院議員はFOXニュース(Fox News)に対し、大統領は拒否権を発動するとの見通しを示した上で、それが議会で覆されることはないだろうと述べた。(c)AFP/Jim Mannion