■「常識からの脱却」

 従来の自動車に近いデザインを持つ車両も展示されている。トルコの「Okcu Automotive」が、独メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)Vクラス(Class V)をベースに仕上げた車両もその一つだ。ただ、その中身はかなりの高級仕様となっている。

 カラードガラスが採用されたこの黒いメルセデスの特徴は、ウッドパネルと大きなレザーシートのインテリアだ。また、ミニバーと高性能テレビも標準装備となっており、車内はまるで豪華なラウンジのようだ。さらに25万ユーロ(約3100万円)の超高級仕様になると、その内装には宝石や24金があしらわれるという。

 Okcu Automotiveのサブニ・オキュ(Savni Okcu)代表は、顧客の大半はビジネスマンだが、中には「国の首脳やセレブもいる」とAFPの取材に語った。

 英イードン・グリーン(Eadon Green)のブースでは、1930年代のフランス車から着想を得たというネオレトロな車両が展示されていた。ベースになっている車両はロールス・ロイス(Rolls Royce)のものだ。

 創設者のフェリックス・イートン(Felix Eaton)氏によると、ロールス・ロイスのシャーシを用いたこの車両は完成まで5年を要し、総費用約250万ポンド(約3億6500万円)が投じられたという。

「非常に高い…レッスン料になった」と話すイートン氏だが、誰かが300万ポンド(約4億4000万円)を投資してくれるのであれば、次のモデルにも取り掛かりたいと意気込んで見せた。

 こうした「常識からの脱却」に対する熱望は、仏自動車メーカー、ブガッティ(Bugatti)の新たなマーケティング戦略にもつながった──世界に1台しかない「ボワチュール・ノワール(Voiture Noire)」の開発だ。

 世界で最も高額な自動車とうたわれたこの車は、すでに税込み1670万ユーロ(約21億円)で匿名のコレクターが購入している。(c)AFP/Yann Schreiber and Daniel Aronssohn