【3月5日 AFP】米民主党が多数を占める下院の司法委員会は4日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の司法妨害および職権乱用疑惑に関し、同氏の側近を含めた81の個人・団体を対象とした調査を開始した。

 司法委員会のジェリー・ナドラー(Jerry Nadler)委員長はトランプ氏の家族や側近、同氏に近い団体宛てに書簡を送り、米政権やトランプ氏自身に不正があった可能性を示す文書の提出を要求。

 宛先にはトランプ氏の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr)氏やエリック・トランプ(Eric Trump)氏、娘婿のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)大統領上級顧問をはじめ、トランプ氏一族が経営する複合企業トランプ・オーガニゼーション(Trump Organization)で最高財務責任者(CFO)を長年務めたアレン・ワイセルバーグ(Allen Weisselberg)氏や全米ライフル協会(NRA)も含まれている。

 さらにはスティーブ・バノン(Steve Bannon)元首席戦略官・上級顧問、ホープ・ヒックス(Hope Hicks)元広報部長、トランプ氏の現在の顧問弁護士であるジェイ・セキュロー(Jay Sekulow)氏、ジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)前司法長官、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏にも書簡が送られた。

 ただ、書簡はトランプ氏の長女のイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)大統領補佐官には送付されていない。

 今回の文書提出要求は、弾劾につながる可能性もあるトランプ氏や政権による司法妨害や汚職への関与があったのかどうかを解明することが目的で、トランプ氏をめぐる調査としては民主党が今年1月に下院の主導権を奪還して以降最も本格的なもの。

 ナドラー委員長は声明で、「今はわが国にとって重大な時に当たり、われわれにはこれらの事案を調査し、公聴会を開いて全ての事実を公にする責任がある」と強調した。

 これを受けトランプ氏はホワイトハウス(White House)で開かれたイベントで、司法委の調査を「政治的なでっち上げ」と批判した一方、捜査には協力すると述べた。ただ、その後のツイッター(Twitter)の投稿では態度を硬化させ、民主党によるいかなる調査も「うまくいくことはないだろう」と断言した。(c)AFP/Michael Mathes