【3月27日 東方新報】最近、中国国内のサッカー番組で司会者とゲストが「帰化選手」をテーマに討論をしていたのは決して偶然ではなかっただろう。2月に終わったばかりのアジアカップ(2019 AFC Asian Cup)では、大半を帰化選手で固めたカタールが優勝した。1月末には、中国サッカーリーグの北京国安( Beijing Guoan)、広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)2チームの所属選手が、中国サッカー界では初となる「中国籍帰化」の川を渡った。

 帰化選手とは、自身の持つ国籍を本人の意思で別の国籍に変えて活動するスポーツ選手のことだ。

 北京国安は1月31日、所属する侯永永(Yongyong Hou)、李可(Ke Li)の2選手が国内で初の事例となる中国「帰化選手」になったと発表した。それとほぼ同じタイミングで、広州恒大も所属の蕭初(Xiao Chu)が帰化したことを公式HPで発表している。これら選手に共通しているのは、皆が中国にルーツを持つという点だ。

 侯は1998年ノルウェー生まれで、母親は河南省(Henan)洛陽(Luoyang)出身の中国人だ。侯は16歳でノルウェーの強豪クラブチームで最年少プロデビューした逸材だ。李は英語名をニコ・イェナリス(Nico Yennaris)といい、父親がキプロス人で、幼少期にロンドンへ移住。母親が中国出身者で英国ユース代表の経験をもつ。そして蕭はペルー生まれで、スペイン語名はロベルト・シウチョ(Roberto Siucho)。祖父が広東省(Guangdong)出身の中国系だ。

 中国サッカー界にとって新鮮な帰化選手だが、海外に目を向けるとフランス、ドイツなどは「帰化選手」大国で、サッカー界全体としてはさほど珍しいことでない。1月のアジアカップでも、参加国24チームのうち17チーム、計86人の帰化選手が参加し、選手全体の17%を帰化選手が占めた。

 実のところ、「帰化選手」については以前から中国国内で議論されていた。

 数年前、広州恒大は所属の外国人2選手の帰化を提案したが、最終的に実現しなかった。選手の帰化にはいくつかの手順が必要で、サッカー協会や所属クラブからの強い推薦と、関連国家との協力のほか、「中国国籍法」に基づいて従来の国籍を放棄し、中国の国家チームに尽力し、国際サッカー連盟の関連規定にも準拠しなくてはならない。

 国際サッカー連盟の規定では、帰化選手が新たに取得した国籍のチームに出場するには、帰化選手として登録されるほかに、本人を含め3世代内の親族が帰化先の国家で出生していること、また本人が18歳以降に現地で5年以上定住し、かつ出身国の代表経験も含め、国際大会(Aマッチ)に出場していないことを条件にしている。(c)東方新報/AFPBB News