■放射性医薬品での治療や検査は世界で4000万件

 ペースメーカーや除細動器など、火葬中に爆発する可能性のある体内植え込み型の機器は、火葬前に火葬場で取り外される。だが、米国の多くの州では、遺体に残留している放射性物質という厄介な問題については対処してこなかったようにみえる。

 AFPが取材したNRCの広報担当者によると、連邦レベルでは、放射線治療を受けた患者の遺体の処置について、火葬や解剖などを法律で定めているという。火葬業者については厳密に言えば規制していないが、規制に実効性を持たせるため、病院が火葬場に被ばくの危険性を報告することを義務付けている。

 今回の場合、職員の被ばく線量は危険な水準ではなかった。だが、放射性医薬品には多くの種類があり、それらは異なる温度で揮発すると、ユー氏は警告する。

 入手できる直近のデータとなる2006年の時点で、放射性医薬品を使用した治療や検査は全世界で4000万件に上っていたという。ネルソン氏らは、この危険性の評価方法を改善する必要があると訴える。

 全米葬儀社協会(NFDA)はAFPの取材に対し、最近までアリゾナ州の件について知らなかったと述べた。だが、「この件についてのさらなる調査」を支援すると言明した。

 また同協会は「火葬前に患者の遺体の放射線量を測定するなど」、火葬場の職員や一般市民を保護するための助言や勧告を歓迎すると述べた。(c)AFP/Ivan Couronne