【2月26日 AFP】ハンバーガーショップの「グリーンリーフ・コーヒーショップ(Green Leaf Coffee Shop)」は、北朝鮮の平壌で最も米国文化を感じさせる場所だ。

 店は2017年、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が開発を指示した黎明(れいめい、Ryomyong)通りがよく見える場所に開設された。店内は茶色を基調とした1970年代風スタイルで、正恩氏の祖父である故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席と、父である故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記それぞれの名を冠した花の絵が飾られている。店内のテレビでは、功勲国家合唱団(State Merited Chorus)の映像が流れている。

 ベーシックなビーフハンバーガーは2ドル(約220円)弱、ベーコン入りチーズバーガーは約4ドル(約440円)で販売されている。また、キムチ入りバーガーやライスバーガーなどのメニューもある。

 包装紙に包まれたバーガーと、米マクドナルド(McDonald)を思い起こさせる赤い箱に入ったフライドポテトが、プラスチック製のトレーに載せられて提供される。だが、セルフサービスではなく、制服を着たウエートレスがテーブルまで運んでくれる。

 このレストランの創業者は、シンガポールの実業家パトリック・ソー(Patrick Soh)氏で、シンガポールでは米バーガーチェーン「ワッフルタウン(Waffletown)」のフランチャイズを経営している。当初は、米国を思い起こさせるような名前ではなく、ソー氏いわく「三つの大きな星」を意味する「サムテスン(Samtaesong)」という名前を使っていたが、その後、今のグリーンリーフ・コーヒーショップに変えた。現在メニューには「ソガン・ハイテク・コーポレーション(Sogwang High-Tech Corporation)」が経営していると書かれている。

 顧客は小家族や若いカップルが大部分で、マネジャーのキム・ヨンエ(Kim Yong Ae)氏によると、毎週300~500人が店を訪れる。だが、彼らはハンバーガーが米国の食べ物だとは気づいていないと言う。

「シンガポールのワッフルタウンのバーガーを提供しているので、みんなマクドナルドを連想するのではなく、単に、パンの間に具が挟まったハンバーガーという食べ物だと認識している」とAFPの取材にキム氏は述べた。「シンガポールの食べ物だと思っている人もいる」 (c)AFP/ Sebastien BERGER