■見込み違い
 だが、計画したようには進まなかった。若い医師や薬剤師は、低賃金で利益の少ない伝統薬局に集まらなかった。また、患者たちはそれまで通り、親の代から信頼している昔なじみの伝統薬局に通い続けた。

 現在、伝統薬局の開業許可を保有する人たちの平均年齢は61歳で、薬局数は過去20年間で半減し、わずか7900軒となった。

 台湾とは対照的に、中国本土や香港では、政府が伝統薬産業を後押しし、輸出する政策をとっている。

 家族で伝統薬局を営むリー・チアリン(Lee Chia-ling)さん(42)は、父親から伝統薬について10年以上にわたり学んできた。「今でも父から新しく教わることは多い」と言う。

 父親のリー・チンチャン(Lee Ching-chang)さん(69)によると、基本的な材料を見分け、それらが合わされるとお互いにどのような効果を発揮するかを学ぶには、3年から5年かかるという。

「経験が非常にものをいう専門職だ」。リーさん自身は15歳で伝統薬の業界に入った。「政府が新たな開業許可証を発行しなければ、次の世代はこの店を継ぐことができない」とリーさんは嘆いた。(c)AFP/Sean CHANG