【1月5日 AFP】中国・上海の病院で、植物とサソリや凍結乾燥させたヤスデなど動物の部位を調合して作る伝統薬を求め、大勢の人が列をつくっている。中国政府は今、こうした伝統薬の販路を国外にまで広げようと模索している。

 2400年の歴史を持つ中国伝統薬は、人々の間に深く根付いており、西洋医学にアクセスできるようになった今でも人気がある。中国当局は現在、伝統薬を近代化し、国外に輸出しようとしているが、それには大きな壁が立ちはだかっている。

 上海の岳陽医院(Yueyang Hospital)の薬局には、まるで森のように薬草が積み上げられている。患者たちは積み上げられた薬草の間に並んで待ち、錠剤の入った箱や薬草エキスが入ったプラスチック製の小袋を手に帰っていく。

 年金受給者のリン・ホングオ(Lin Hongguo)さん(76)は、「心臓の拍動が遅い」症状を治療するための伝統薬を買いに来た。煎じてお茶にして飲むと言う。

「西洋薬よりも伝統薬の方が好きだ。価格の問題ではなく、こちらの方が良く効く」とホングオさんはAFPに語った。

 伝統薬には補助が出ており、西洋薬よりも安く買える。

 中国では近代医薬品の使用が増えているものの、伝統薬が国内医薬品市場の4分の1を常に占めている。

 世界保健機関(WHO)は今年、医療業界の国際動向資料で医療統計の国際基準である「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Classification of Diseases)」に、中国伝統薬の章を設ける予定だ。中国は、これにより世界的に伝統薬の認識が進むと期待を寄せている。