【2月19日 AFP】イスラエルの国営企業イスラエル航空工業(IAI)とテクノロジーNGO「スペースIL(SpaceIL)」は18日、同国初の月面探査ミッションのため週内に無人探査機を打ち上げると発表した。収集したデータは米航空宇宙局(NASA)と共有する。過去、月面に探査機を着陸させたのはロシア、米国、中国のみ。IAIは、着陸が成功すれば「民間主導の計画として初」の例だとしている。

 今回月面に送る探査機ベレシート(Beresheet、「創世記」の意)は、重さが585キロ。打ち上げに使うロケットは米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の「ファルコン9(Falcon 9)」で、打ち上げの場所は米フロリダ州ケープカナベラル(Cape Canaveral)、時刻はグリニッジ標準時(GMT)22日午前1時45分(日本時間同10時45分)前後を予定している。また、ミッションの司令室はテルアビブに近いイェフド(Yehud)に置かれる。

 IAIとスペースILが記者会見で発表した。

 スペースIL代表のモリス・カーン(Morris Kahn)氏は、「われわれは歴史に名を残そうとしている」と述べ、過去3か国しか成功したことのないミッションに加わることを誇りに思うと語った。

 IAIの発表によると、ベレシートの飛行距離は650万キロ、飛行速度は最高で時速3万6000キロに達する。

 また、ベレシートには「タイムカプセル」が搭載される予定で、その中には、聖書や子どもたちの描いた絵、イスラエルの歌、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)生存者の証言録、青と白を基調とするイスラエル国旗がデジタル形式で保存されている。

 プロジェクトは月面の成り立ちの解明に向け、月の磁場を測定することを目的としたもので、費用は1億ドル(約110億円)。IAIは「同様のミッションを実施する探査機としては史上最も低予算だ」としている。(c)AFP