■昔を懐かしむ味

 日本には何百年も続いてきた捕鯨の伝統があり、第2次世界大戦(World War II)直後の貧しい時代には、鯨肉は貴重なたんぱく源とされていた。だが、ここ数十年は需要が著しく落ち込んでおり、多くの日本人は鯨肉をあまり食べない、もしくはまったく食べなくなった。

 こうした状況について環境保護団体グリーンピース・ジャパン(Greenpeace Japan)のプログラム部長、高田久代(Hisayo Takada)氏は、「一般の人の中で、鯨肉を食べることに対する関心は非常に限られていると思う」と指摘する。また、反対する諸外国からの圧力に対して日本政府が示す反応については、感情的にすら見えるとも話した。

 一般的な漁業に比べ、捕鯨産業の規模は非常に小さい。高田氏は、「今回の決定によって日本の捕鯨産業が急成長するというようなことは考えにくい」とコメントしている。

 鯨料理を提供する都内のレストランで取材に応じた70歳の男性は、鯨を食べるのは「昔を懐かしむ思い」からだと話し、「現状維持がいいと思う」とつぶやいた。(c)AFP/ Shingo ITO