【2月7日 AFP】世界全体の自殺率が1990年から3分の1以上低下しているとの分析結果が6日、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表された。

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 世界保健機関(WHO)は自殺を重大な保健行政上の問題と位置付けており、自殺者数を少なくとも年間80万人と推定している。

 大規模な健康調査をまとめた報告書「世界の疾病負担研究(Global Burden of Disease Study)」に携わった専門家チームが考案したデータモデルによると、国ごとでは自殺者に関する数字に違いが見られるものの、世界全体の自殺率は明らかに低下傾向にあることが分かった。

 研究結果によると2016年の自殺者数は推定81万7000人で、1990年から6.7%増となったものの、この30年で世界人口が急増したことから、年齢と人口規模で調整した10万人当たりの自殺者数では16.6人から11.2人と32.7%減となった。

「世界の疾病負担研究」は慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)」が資金援助している保健指標評価研究所(IHME)が毎年実施しており、膨大なデータから死因、年齢、性別、地域別の死亡率を推定している。

 専門家チームは全体の自殺率が減少傾向にあることを評価する一方、一部の国と地域ではいまだに自殺が損失生存年数を増加させている大きな要因であると指摘。損失生存年数は自殺時の年齢と国・地域の平均余命を比較して算出した年数で、2016年には世界全体で3460万年に上っている。

 また、性別で見ると10万人当たりの自殺者数は男性15.6人、女性7.0人となっており、男性が女性を大きく上回っていることも分かった。

 研究に協力したカナダ公衆衛生局(Public Health Agency of Canada)のヘザー・オルパナ(Heather Orpana)氏は、「自殺は回避可能な死因と考えられており、今回の研究は私たちが自殺防止に向けた取り組みを継続すべきであることを示している」と述べた。(c)AFP/Patrick GALEY