アラブ諸国、シリアに接近 地域機構復帰をイスラエルと画策
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■空爆に込めたメッセージ
アサド政権への「アメ」としては、シリアのアラブ連盟復帰への道筋をつけることに加えて、シリア北部におけるトルコの軍事プレゼンスに反対するシリア政府の立場を、アラブ諸国が支持することなどが挙げられる。シリア北部には、クルド人の民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」に対抗するためトルコ軍が展開している。
報道によるとアルジェリアは、3月にチュニジアで開かれるアラブ連盟首脳会議に、アサド大統領を招くことに関心を持っているという。
秘密会合で合意された第4の方策は、トルコとシリア北東部のクルド人勢力との対立で、クルド人勢力側を支援することだ。トルコは、シリア北東部の対トルコ国境から対イラク国境に至る一帯で、YPGとその政治部門「民主統一党(PYD)」の駆逐を目指している。
会合ではこの他、イラク北部のクルド自治政府との関係を強化することや、クルド自治区が2007年に独立の是非を問う住民投票を強行して以降、ぎくしゃくしている同地地区とトルコの関係修復を阻止することなどでも一致した。
前出の湾岸某国の当局者はこう明かす。「サウジアラビアは、アサド氏の歓心を買おうとする外交攻勢で自ら先頭に立ちたくはない。しかし、アサド氏をてこにして、トルコの勢力を弱めるという基本戦略については同意している」
イスラエルはこれまでアサド大統領と直接の接触はしていないものの、アサド一族が属するシーア派の一派アラウィ派(Alawite)やキリスト教徒のシリア人実業家を仲介者として活用してきた。アラウィ派やキリスト教徒の実業家は、UAEとシリアの関係修復にも一役買っている。
UAEが在シリア大使館の再開を発表した昨年12月27日、イスラエルは、イランからヒズボラへの武器輸送を標的にしたとみられる一連の空爆を実施した。これは、イスラエルがアサド大統領に送った「イランに依存するな」というメッセージだった。
By David Hearst
(c)Middle East Eye 2019/AFPBB News
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