■1年目の参加者200人から、今や他の町にも経済効果が

 パークスは金鉱の町として開拓され、豊かな農村に発展した。しかし、1990年代に差し掛かる頃には、農業が衰退し、他の地方都市と同様、不況に見舞われた。

 そこで、地元住民ですら避暑で沿岸部に行き、町が静かになる夏の間に観光客を呼び込もうと、プレスリーファンのレストランオーナー夫妻、ボブ・スチール(Bob Steel)さんとアン・スチール(Anne Steel)さんが自分たちのアイドルの生誕祭を企画。1993年に行われた最初のエルビス・フェスティバルには200人が参加した。大いに楽しんだスチール夫妻は、このイベントを毎年開くことにした。

 ケン・キース(Ken Keith)町長によると、当初は町の経済への影響はほとんどなかった。だが訪れる人が増えるにつれ、町の財政も潤っていった。今では、パークスから車で2時間半ほど離れた幾つもの町にまで経済効果が広がっている。会場近くの宿泊施設が予約できなかった観光客に、宿泊場所と会場までの移動手段を提供し始めたからだ。

「みんな朝は5時に起きて、7時にはパークスに着いている。それで宿泊先に帰るのは、真夜中のショーが終わってから。大変だけど、みんなそうしています。ここに彼らを連れて来てくれるのは、エルビス本人」とレノックスさんは語る。