【1月31日 AFP】広大なアマゾンの熱帯雨林の奥深くに入っていくのは難しく、違法伐採を根絶したい当局にとって頭痛の種となっている。だが、ブラジルは空から森林破壊を追跡するという方法を取り入れている。

 研究者らは過去30年にわたり、地球の周りを回る人工衛星から撮影した画像をブラジル国立宇宙研究所(INPE)に送信することによって、アマゾンの森林開拓や農業、土地利用の様子を監視してきた。

 INPEはアマゾンから程遠い巨大都市サンパウロ(Sao Paulo)近郊サンジョゼドスカンポス(Sao Jose dos Campos)にある。だが、森林伐採監視モニターから送られる大量の衛星画像から、日々アマゾンで何が起こっているのか手に取るように分かる。

「これだけの規模で監視を行っているのは、世界でもここだけだ」と、プログラムのコーディネーターを務めるクラウディオ・アルメイダ(Claudio Almeida)氏はAFPの取材に語る。「アマゾンは欧州連合(EU)がすっぽり入ってまだ余るくらい広い。これを監視するには、最先端のリモートセンシング技術が必要となる」

■独裁政権下で誕生

 このアマゾン監視プログラムは、ブラジル政府による森林伐採追跡の主要手段となっている。

 人工衛星によるアマゾン奥地の伐採追跡プログラムは、ブラジルの軍事独裁政権(1964~1985年)が始めたものだ。政府は1988年、環境保護活動家らの圧力の高まりを受け、植生の喪失を常時監視することを決定した。

 当初は50人の専門家が、印刷された巨大な地図にセロハン紙を置き、緑色で描かれた森林のうち伐採された部分を茶色く印をつけていた。その頃は、1年分の森林破壊の様子を完全に把握するのに2年かかっていた。

 今では低解像度の画像を毎日入手でき、疑わしい活動が認められた翌日には、環境警察に警告が届く仕組みになっている。人工衛星による監視のおかげで、木を切り倒し始めた直後の伐採中に、犯罪集団を捕まえることが当たり前にできるようになったとアルメイダ氏は言う。

 昨年11月にINPEが発表した2017年のアマゾンの森林破壊面積は、過去10年間で最高の7900平方キロに達した。これはサッカー場に換算すると100万個分に当たる。「これは2020年までの目標値を大幅に上回っており、憂慮すべき事態だ」とアルメイダ氏は語る。ブラジル政府は2020年までに、森林破壊面積を3500平方キロまで減少させる目標を掲げている。