【1月17日 AFP】アジアではキリスト教徒の3人に1人が頻繁に迫害に直面しているとのNGO報告書が16日、発表された。世界各地で宗教を理由とした脅迫や暴力が「衝撃的に増加」しており、中国とサハラ以南アフリカで特にその傾向が顕著だとしている。

 キリスト教徒に対する迫害状況を監視している超宗派のキリスト教伝道団「オープン・ドアーズ(Open Doors)」によると、中国では約1億人のキリスト教徒の約半数が迫害に遭ったことがある。「宗教上の表現の自由を制限する新法」が導入されたことで、「過去10年余りの期間で最悪」の状況となっているという。

 オープン・ドアーズの報告書「ワールド・ウオッチ・リスト(World Watch List)」2019年版によれば、世界規模でもキリスト教徒への迫害は6年連続で増加し、9人に1人に相当する2億4500万人が迫害を経験した。前年は2億1500万人で、12人に1人だった。

「迫害を受けたキリスト教徒の数は世界で前年比13.9%増えたことが、データから判明した」と、オープン・ドアーズ英国・アイルランド支部トップのヘンリエッタ・ブライス(Henrietta Blyth)氏は説明した。

 報告書はまた、キリスト教を信仰していたために殺害された人は昨年、世界で4300人を超え、うち3700人以上がナイジェリアで犠牲になったと指摘している。ナイジェリアのキリスト教徒の死者数は前年比で2倍近く増えたが、背景にはイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」による襲撃と、イスラム教を信仰する遊牧民フラニ(Fulani)人による襲撃が「ニ重の脅威」となっている現状があるという。

「アフリカはキリスト教徒に対する暴力の多発地帯となっている」と、オープン・ドアーズのフランス支部代表のミシェル・バルトン(Michel Varton)氏は述べた。

 報告書に掲載された「最も迫害の度合が高い」50か国のリストでは、2002年から継続して北朝鮮が1位となっている。北朝鮮では宗教的抑圧が強まっている兆候があるが、「キリスト教が禁止され政治犯罪とされる」同国に関するデータの入手は困難だとオープン・ドアーズは指摘している。2位以下はアフガニスタン、ソマリア、リビア、パキスタン、スーダンと続き、「ヒンズー教の過激派が処罰されないままキリスト教徒や教会を襲撃する事件が相次いでいる」インドが初めて10位に入った。(c)AFP