【1月11日 東方新報】北京で行われていた中米経済貿易問題に関する次官級協議は9日、終了した。これは、両国政府がアルゼンチン会談で達した重要な共通認識を実行に移すために行った初めての協議だ。双方は、共に関心を寄せる貿易問題や構造問題について、広範で子細にわたる交流を行った。中国国際放送局(CRI)が報じた。

 協議の結果、中国による米国産の農産物やエネルギーの輸入拡大は、中国の消費者の質の高い生活に対する需要をよりよく満たすことになるだろう。中国の輸入拡大は全世界が相手であり、米国製品が中国市場でどれだけのシェアを占めるかは、中国の消費者の購買意欲を刺激できるかどうかにかかっている。

 協議において、米国側は「構造問題」を取り上げた。中国の国家制度や安全、イデオロギーに関するものは、中国側は同意しなかったが、中国の改革開放の方向性と一致するものは、すでに解決済みか推進中だ。知的財産権保護の問題を例にとると、中国の立法機関で先日審議された「特許法修正案(草案)」で初めて、知的財産権侵害行為を厳しく罰する「懲罰的賠償」制度が盛り込まれた。

 中米貿易摩擦の有無にかかわらず、知的財産権保護や技術協力、市場アクセス、非関税障壁などの問題はすべて、中国の質の高い発展の中で解決しなければならないことだ。今回の次官級協議では、この問題で共通認識に達した。これは中国の改革開放の深化の方向性に一致する。

 中米貿易摩擦がヒートアップして9か月余り後の次官級協議で進展を得られた重要な原因の一つは、両国と世界が貿易戦争の痛みを感じるようになったからだ。

 マクロ的な見地からは、昨年10月中旬以来、米国の株価は大幅な調整を繰り返し、貿易赤字額は11月に505億ドル(約5兆4700億円)に達し、6年ぶりの高水準となった。米国の昨年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、2年ぶりの最低水準まで減速した。同時に、中国の先月のPMIも、好不況を判断する節目の50を割り込んだ。

 企業の状況を見ると、中米貿易戦争の影響により、米ゼネラル・モーターズ(General Motors)は昨年11月、世界7か所の工場閉鎖を発表し、アップル(Apple)は最近3か月で時価総額4000億ドル(約43兆3300億円)以上を失い、昨年第4四半期の業績予想を大幅に下方修正した。第1回中国国際輸入博覧会に参加した米国企業は約180社で、数では日本企業の3分の1にとどまった。米ラスベガス(Las Vegas)で開催中のコンシューマー向け家電見本市「CES」の中国企業の出展は例年の2割減にとどまっている。

 世界規模で見ると、2018年の世界貨物貿易量の伸び率は0.3ポイント下落すると見られ、世界銀行(World Bank)は先ごろ、世界全体の経済成長率の見通しを2019年は2.9%、2020年は2.8%にそれぞれ下方修正した。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は「貿易戦争は、金融市場とより広範な経済各層に代償を支払わせるだけだ」との見方を伝えている。

 最終的に協議がまとまることは、両国の共通の願いであるだけでなく、世界の共通の期待でもある。協議するための時間は90日間しかない。現在、すでに40日が経過した。今回の北京での次官級協議で進展が得られたことは、間違いなく良いスタートだ。だが最終的に合意に達するには、やはり中米双方の共同努力が必要であろう。(c)東方新報/AFPBB News